プレミアムフライデーの4月28日、JALの2017~2020年度の中期経営計画が発表されました。JALが2008年に倒産してから2016年度まではいわゆる「8.10ペーパー」によって新規路線の開拓や新規の大型投資が制限されており、いよいよ今年度からその制限がなくなるということで、今回の中期経営計画には注目していました。
財務面だったり安全面だったりの目標とかは、「頑張ります」を長々と書いているだけなのでスルー。利用する立場としてはサービスがどう変化していくかという点が気になります。
国際線
羽田の発着枠の傾斜配分により、ANAに対して苦戦を強いられるようになってしまった国際線部門について、まず見てみましょう。国際線についてはすでに4月1日より羽田ホノルル線を運休して羽田ニューヨーク線を開設しています。そのほか、パリからビジネスジェットに乗り継げるように業務提携を始めるというちょっとマニアックなニュースもありました。
JAL、パリからビジネスジェットサービス ダッソーと提携、植木社長「需要探る」
そんなことを踏まえたうえで、今回の発表内容を見てみると以下のようになっていました。
ネットワークの充実
- 北米と東南アジア間のネットワーク強化
- 他社提携強化・拡大による利便性の向上
- 2020年に拡張が見込まれる首都圏空港発着枠の積極的活用によるネッ トワーク強化
一歩先を行く商品サービスの提供
- ビジネスクラスフルフラット化を概ね完了した欧米・ホノルル線に加え、東南アジア線でも順次拡大
- 中長距離路線で足元スペースの広い「新・間隔エコノミー」の推進 • 国内・海外空港のラウンジを順次改修、刷新
新たな需要の獲得
- 日本の魅力と当社認知向上のための海外地区におけるプロモーション活動を展開
- 海外マーケットに精通した人財を活用した外国人旅客への販売体制強化
- 海外地区WEB機能強化・拡大による海外からの新規顧客獲得
新規就航ができるようになったので、このタイミングあたりで発表があるかな、とか考えていたんですけど特に具体的な就航先についてはコメントがありませんでした。8.10ペーパー時代にもできそうな文言が多いような気がしてしまいますね・・・
それぞれの項目について、中の人の気持ちを勝手にイメージしてみると、
- ANAが結構得意としつつある、北米ーアジアの乗り継ぎ客の取り込みをJALも頑張るよ
- とりあえず他社提携って言っとけばいいよね
- 2020年の羽田の発着枠配分では必ず枠をもらうよ
- フルフラットという意味ではANAと同等だし、ホノルル線なんかはANAより早い時期に完全フルフラットにするよ!ホノルルはJALのもの!
- 東南アジアも、手を抜いてないよ!
- もちろんエコノミーも忘れていないよ。快適にしたら単価上がるかなあ。ラウンジはまあ適宜手を入れつつくらいの気持ちで。
- あとはとにかく外国人客を集める。これに尽きる。×3
みたいな感じでしょうか。あんまり深いことは言っていないような気がします。WEBシステムについては本当に早々にどうにかしてくださいという気持ちがあります。特に特典検索をするときなどはANAとの落差に毎回うんざりします。
国内線
国内線については、個人的に利用頻度が高くないのであんまり気にならないのですが、一応見ておきましょう。ANAもそうですが、売上という点では国内線>国際線ですからね。
新機材の導入
- 幹線に国内線初の最新機エアバス A350-900を導入 (2019年度予定)
- 地方路線に新機材Embraer190/ATR等を導入し機内快適性を向上
高品質な商品・サービスの提供
- 機内Wi-Fiなど、一歩先を行く新しい機内環境を実現
- ダイヤモンドプレミアラウンジの5空港展開や、サクララウンジをリ ニューアル
- 高品質な設備に加え、お客さまに寄り添うサービスで、ご満足いただける移動空間をご提供
訪日需要を含む交流人口の拡大
- 訪日のお客さまにご利用いただきやすい運賃の提供・WEBページの機能充実により、地域への航空需要を創出
- 離島や地域において、お客さまに寄り添ったネットワークを運営
- より多くの海外のお客さまがご利用いただき易い運賃の新設
- 当社アセットの活用、他社との協力により地域の魅力プロモーションを展開
- 奄美群島におけるアイランドホッピング路線の開設など、地域に寄り添ったネットワークを運営
まず、この文言は中期経営計画の詳細PDFから引っ張ってきたんですけど、PDF上で読める文字とデータ上の文言とは少し異なるようで、それっぽい範囲をPDF上で選択&コピーすると上のような文言が出てきます。文字色を紫にした、3項目はPDFの見た目上は書かれていないことになっています。
これも先ほどと同様、中の人の気持ちを勝手に想像してみると
- みんな大好きだよね新機材!
- A350-900は2019年に国内幹線に導入するぜ
- 地方も機材に手を抜かないから乗ってくれ
- 機内Wi-Fi、ANAより一歩先行ってるよね
- ダイヤモンド・プレミアラウンジはもう一箇所作るよ(さすがに那覇でしょ
- 訪日需要取り込みたい!
- 日本人も旅行しようよ
という感じでしょうか。自分の利用経験が少なすぎてあまりコメントできないんですが、機内Wi-Fiは良いですよね。いま無料キャンペーン中ですし。
全体的に国内線は劇的な成長が見込みにくいのでどう展開していくのかは考えることは難しそうですね・・・
A350-900の導入が国内幹線からの導入になったのはAviation Wireさんの記事によると
運航距離が短く離発着回数の多い国内線から導入し、パイロットや整備士の練度を高めていく。
ためらしいです。なるほど。
まとめ
目新しい発表はA350-900が国内幹線からの就航という点くらいでしょうか。国際線は当面、777と787と767あたりの構成で、少し787が増えるくらいであまり派手に増やすことなくやっていくようですね。787-9を2017年度で3機受領予定とのことなのですが、ホノルル線とどこかのアジア線に導入されるでしょうね・・・そうなると新規就航はまだちょっと先かなー・・・