前回、ANAとJALの「新年のご挨拶」について何が読み取れるか検討してみました。
そういうことに注目したのはブログのネタに困ったからではありません。2016年のときになんとなく読んでいて、ふと気になる部分があったからです。
それでは2016年のANAの新年の挨拶についてみてみましょう。
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
2016年が皆様にとって素晴らしい年になりますよう、心よりお祈り申し上げます。
私の新年は毎年、ANA初日の出フライトで始まります。上空から見る富士山と初日の出に手を合わせ、今年一年が無事に、そして元気で明るい年となるよう祈願してまいりました。
昨年を振り返れば、ヒューストン、クアラルンプール、ブリュッセル、シドニーの4地点を国際線ネットワークに加えるとともに、上海、広州、バンコク、シンガポール、ハワイ・ホノルルの増便も図り、お客様の利便性向上に向けて、路線網の充実に努めました。 また、英国スカイトラックス社からの3年連続5スター認定、Tastes of JAPAN by ANAによる訪日外国人誘致と地方活性化の促進、特別塗装機の導入などANA STAR WARS™プロジェクトの展開、そして東京2020オリンピック・パラリンピックのオフィシャルエアラインパートナー就任と、品質向上に向けた努力に加えて、ANAらしくチャレンジを積み重ねた一年でした。
今年も、お客様にもっと便利で快適に感じていただけるようなANAを目指して、一層努力してまいります。
まず、今年受領する最新鋭機ボーイング787型機13機すべてを国際線に投入し、高い燃費効率と快適な機内という、この航空機の環境性能を最大限活用します。
国際線では、成田より4月に中国・武漢へ新たに就航するとともに、他の路線についても積極的に展開することでネットワークのさらなる充実を図ります。また、バンクーバー線・ムンバイ線ビジネスクラスのフルフラット化など快適性の向上にも努めてまいります。
国内線では、最大のネットワークを堅持しながら、人的サービスの向上に引き続き努力するとともに、自動手荷物預け機や新・自動チェックイン機も展開して、さらに簡単・便利を追求します。
その他、Tastes of JAPAN by ANAをはじめ訪日外国人誘致と地方活性化の促進、ANA STAR WARS™プロジェクトの展開等、ANAらしい取り組みを継続していくとともに、東京2020オリンピック・パラリンピックにつなげるべく、今年のブラジル・リオ2016大会に参加する代表選手団を支援・応援していきます。
今後もさまざまな環境の変化があるかと思いますが、常に安全を最優先とし、もっと便利で快適に感じていただけるANAを目指して、役員・職員一同精いっぱい努力してまいりますので、今年も変わらぬご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
全日本空輸株式会社
代表取締役社長 篠辺 修
https://www.ana.co.jp/topics/notice_new-year16/
いまから見ると、なにが気になるのかというのは難しいのですが、当時読んでいて引っかかったのは次の一文でした。
また、バンクーバー線・ムンバイ線ビジネスクラスのフルフラット化など快適性の向上にも努めてまいります。
このコメント通り、2016年3月27日から成田ムンバイ線はB737-700ER→B787-8に、 そして4月28日から羽田バンクーバー線はB787-8→B787-9に変更になっています。そしてそれぞれビジネスクラスはフルフラット化しました。
これだけの情報では有限実行しただけのように見えます。しかしながら、この機材変更がプレスリリースで発表されたのは2016年1月20日なのです。実際のプレスリリースはこちらになります。
2016年度 ANAグループ航空輸送事業計画を策定|プレスリリース|企業情報|ANA
これと同日に航空系ニュースが専門のニュースサイトであるAviation Wireさんでも取り上げられています。
ANA、737ビジネスジェット3月で退役 ムンバイ線787に
今となっては示しようがないですが、「新年のご挨拶」の時点でもプレスリリースの時点でも、まだ座席指定の画面を表示されるとフルフラット機材の座席表には入れ替わっていませんでした。
つまり、この、「2016年にバンクーバー線とムンバイ線のビジネスクラスをフルフラット化する」という情報が一番最初に公開されたのは「新年のご挨拶」のタイミングだったのです。この一件があってから、「新年のご挨拶」はきちんと目を通そうと思っています。